日本の未来や古民家・伝統工法の活用 日本の生き残る術は?(古民家鑑定士講習を受講しての備忘録)

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今日、古民家鑑定士という資格の勉強に行ってきたので備忘録として。
面白かったので、読者の皆様にも共有したいと思う。

そもそも私は、古民家鑑定士の資格には嫌悪感があった。
鑑定という名前が、利権やお金の匂いがプンプンする。(笑)
伝統構法の資格はたくさんあって、いろんな資格を絡めて、それらを全部取らせようと、
連携している。そういうやり方がなんともいやらしい(笑)
それぞれに結構な金額がかかる。全部ひっくるめて一つの資格にならないものかと。
そう思いながらも、資格を取るなら今しかない。(来年は一級に再挑戦するため)
思い立ったら衝動的に決断してしまうのが私の悪い癖だ(笑)

しかし、そんな風に思っていた古民家鑑定士の資格だが、少し見方が変わった。
日本の未来にも通ずる話も聞いた。
よく聞く、日本を海外から見る視点を持つこと、その重要性を再認識した。

試験勉強の(テキストの)内容はおいておく。
その他の、講義中にお聞きすることができた情勢のことなどを書く。

現在日本の古民家鑑定士は2万人弱。今も増えてきている。
何をするかというと、古民家のインスペクション(今の建物の状況を調査報告する)
日本の不動産の流通ではただ古い家として価値がないと判断される古民家。
住宅は築後30年すぎると価値が無いと判断されるのが日本の不動産業界。
更に古民家の欠点の一つ、冬が寒いこと。住むのには適さないと。
流通的な価値はなくても、文化的な価値はある!と、知ってもらう活動を続けているとのことだ。

日本人にとって価値がなくても、海外からの目は違う。
中国人が○億円分購入したい、と電話が来たりしたそうだ。
実際、アメリカに移築した事例もあるそうで、
最近はフランスからも問い合わせがあるらしい。


ここから先は私の考え。
円安だし、そこに目をつけられるのも無理はない。
海外にあったほうが大切にされるかもしれないし(笑)
寒冷地であればシロアリもいないのでもしかしたら長持ちするかもしれない。
しかし、日本家屋は日本の風土にあうように作り上げられたもの。
果たして欧米の風景にマッチするのか怪しい。
日本人は、日本人の文化をもっと大切にしないといけない。
年を負うほどにそう感じる。
と、私の考えはここまで。

ここから講習の内容。
古民家の定義は築50年。
昭和20年に終戦、昭和25年に建築基準法ができ、
その後昭和27年サンフランシスコ条約・対日平和条約でやっと独立
ということで建築基準法は米の支配下で策定。アメリカを交えて作られたもの。
アメリカは地震の事も考えずに作ってきた。
住宅不足でどんどん建てろの風潮もあったせいだと私は思っている。
その後昭和56年まで地震に対する対応のない建物がたくさん建てられた。
では、戦前は?
竪穴住宅から1400年かけて日本の気候風土に合うように進化してきた。
現在、国にも働きかけて日本の伝統住宅を残すために頑張っているという。
古民家の定義も昭和25年以前に作られたものと変えてほしいとも国に提案しているそうだ。
熊本比較的伝統工法の先駆者。(と言うか建築に対して先駆者)
新築ではあるが、伝統工法のルールは整っている。
長野県は伝統工法再生のためのルールを整えたそうだ。
モデルケースにして、全国に広がることだろう。

現在の耐震改修の制度では伝統工法のやり方でのリフォームでは補助金が出ない。
補助金もらうためのやり方では、せっかくの古民家が古民家じゃなくなってしまう。
そのように、本当の古民家じゃなくなっている建物が多いのが現状だ。
古民家の人気が高まっているのに、政府の認識と流通とのギャップ埋められていない。
一般的な補助金制度も、4月から始まり予算がなくなれば、はい、おしまい。
それはおかしい!と掛け合って熊本県では分散スタートに改善したそうだ。
政府、地方自治体への働きかけも重要だ。という話だった。

そもそも極論を言えば、どんな地震が来ても壊れない家というものはありえない。
あるのは、今までに来た地震動に対しては壊れない家。
今後どんな揺れが来るのかはわからない以上、どんな地震でも大丈夫とは言えない。
ただ、住人の命を守ることだけは重要。
前にも書いたが、
古来から上部を軽くするために地震時には瓦が落ちるようにできている。
熊本の友人が、「瓦が落ちてきて怖い」と言っていたのを思い出した。
なるほど、日本家屋の玄関上部は小さい屋根を作っているものが多い。
そのためかと、ちょっと納得。
以前にも何度か書いかもしれないけれど、伝統工法の石場立て基礎。
風通りがいいことが、木材にとって大切なのだが、
そこを、動物が入ると言ってふさいでしまう人が多い。
腐朽や白蟻の原因になる。
熊本で有名な古川先生は金網を張って対応していたのを思い出した。

古民家再生協会は唯一、国が認めた古民家のリフォームができる団体。
フラットもできる。瑕疵保険も入れる。

空き家に対する取り組みも積極的に行っている。
空き家を違った形で利用するのは、華やかだ。しかし収益あげるのは難しい。
それよりも住教育に力を入れて、空き家を発生させないような仕組みも重要と考え、
現在、そこに力を入れている。
この辺りは、とても良い取り組みで共感できる。

日本の総人口のトレンド
2040年自治体消滅マップ
、ほぼ消滅(笑)
人口が半分になったとして、全体的に人口を減らすと、
人が残る場所は大都市圏のみ。

https://www.mlit.go.jp/common/000135837.pdf


日本の人口が1億2千万人だったのはひと昔まえ。(18年も前。)
同じように人口減少が続けば、2100年には人口半分に。(80年後。)
未来予想の中で、人口変動はあまり外れがないとも聞く。

古民家に住んでもらうのが一番良いのだが、住めないのか住まないのか。
古民家のデメリットが原因では?
古民家を活用するためには地域での連携(行政、民間、コミュニティー)が大切。
行政は、民間に丸投げでは民間が収益をあげるのは難しい。

隣に空き家があるだけで、中古建物の販売価格は格段に安くなってしまう。
コミュニティーが大切なのはそんな理由もある。
魅力ある街づくりのために、地域でも、空き家を生まない努力が必要ではないか。

来年法改正がある。
不動産も相続放棄ができるようになるそうだ。
併せて再来年には、不動産は必ず登記しないといけないこととなる。
所有者がわからない、という事態を亡くし国のコントロール下に置くための策だ。

古民家としての活用が難しいのであれば、古材としての活用しようと、推し進めている。
古材の品質確保が大切で、今ルールを作っている。とのことだ。
移築のサイト「結」もある。
アメリカへの移築もこの活動の一環として行われたとか。国には叱られたそうだが。

NBCヴィンテージ住宅ローンの取引も開始(ムム、)
古民家には不動産としての価値はないのだけれど、
ビンテージの価値を認めて貸していただけるようだ。

三菱地所(?)古民家のプレハブ工法のための工場を鹿児島に建設している
地場の工務店や大工が生き残るためにも、伝統工法の技術を活かすことが重要。

住教育や大工の育成が大切、などなど。

利権やお金の匂いは相変わらず漂うけども、
古民家を残したいという思いは同じ。
突き進んでみよう。と思う。

備忘録にお付き合いくださり、ありがとうございました。

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