木造の耐震診断の仕事がたま~に入る。
助成金がらみの場合は、県の建築士事務所協会からの依頼で報酬はごくわずか。
なので、他にこの仕事をする人はいなく地元では私だけらしい(笑)
耐震改修の助成金の支給は、耐震診断、改修設計、工事、の三回あるのだけれど、
どれも実際の額には到底及ばない額。
耐震診断は、施主にとってもそれほどの額ではないのだけれど、
その先(改修)を視野に入れるとかかる費用は大きくなり、補助金は微々たるものに感じられる。
実際、そうなってしまう。
冷静に考える方がいい、と
行政の窓口で伝えているのかもしれない。
なので年に数回、あるかないかの仕事になる。
今の建築基準法は命を守る程度の強さを確保するようにと決められている。
昭和56年、平成12年に宮城県沖地震、阪神淡路大震災を経て、
構造に関して反省点を踏まえて法改正されている。
それ以前の建物だと、その当時の法に則っていても現法に合わせる改修工事となると
大規模な工事になってしまう。大きな違い、基礎と筋交い(耐力壁)の入れ方、それと金物だ。
今の建築基準法では、壁の強さで建物を支える。
ならば壁を強くすればいいだけとも思うが、
壁が強くなった分それを支える基礎も強くしないと、もともこもない。
足元がふにゃふにゃだと、上物も変形してしまうことは想像できるだろう。
なので、当時の建物でも基礎に鉄筋が入っていれば「ラッキー」という気持ちになる。
改修工事がそれほど大掛かりにならずに済むかもしれない。
(調べてみないと何とも言えないけれど)
基礎がしっかりしていれば、外周部の壁を屋内側から改修するだけで強くできる。
あとは、梁が落ちてしまわないように金物で補強。
以前は住宅金融公庫という国の住宅金融ローンの仕組みがあった。(今はフラットという)
金利を安くする分、品質のたしかな住宅で資産価値高くしましょうね、という感じのもの。
品質が高い分建築コストは上がるのだけど、公庫で建てたというと今でも信頼度はグンと上がる。
売買の際も評価は高くなる。(はず)
地震は地面が揺れるものだけど、建築の場合上部に横から力が伝わると考える。
慣性の法則にならってのことだろう。
地震大国の日本で、確か明治時代から大正時代の偉い人が考えついたものらしい。
(うろ覚えで申し訳ない)
でも、画期的なその考えは今も健在で確かだったようだ。
日本の建物は、震度5にも楽々耐えられるように進化してきた。
想像して欲しい。上部に横から力が加わるということは、頭でっかちだと不利になる。
なので、頭を軽くすると建物は変形しにくくなる。という考えが今の基準法の考え方。
瓦葺きから軽い仕上げのものに変更すると、耐震力はグンと上がる。
じゃ伝統的な瓦葺きで壁が少なく、ふすまや障子ばかりの建物は弱いのか?
というと、単純にそうとも言い切れない。
頭が重いのは、建物を浮き上がらせないようにするためのもので、
そのため梁や柱が太いものが使われていた。
足元も地面と緊結していないので、揺れを逃がすように作用する。
土壁は崩れながら柔軟に揺れを吸収する作用があり、瓦もいざとなれば落ちて建物自体は崩れない。
昔の人も、とても理にかなったつくりをしていた。
安全を確かめる計算が難しいので、今は普及しにくいというだけの話だ。
阪神淡路大震災で倒壊した建物の多くはシロアリ被害にあっているものだったとも聞く。
キチンと建てたのに、その後の管理を怠ればやはり被害は大きくなるのだ。
家は建てて終わり、ではない。
よくいう「建ててからがはじまり」だと思っていてもらいたい。
親から家をいただけるのであれば、それはとてもありがたいことなのだけど、
相続された建物は「やっかいもの」あつかいになってしまっている昨今。
価値のあるものを残せるよう尽力するしかない。
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