野生

人生

実家は大雪山国立公園をも含む、大雪山のすそ野の町だ。
帰省しているとき、朝早く天気もいいしコンビニまで買い物ついでに散歩に出た。
骨伝導イヤホンで英会話の勉強をしながら、ふらふらと外に出る。

まだまだ朝晩は冷え込む4月下旬。冷気は眠気をシャキッとさせ、青ぞらに心はスキッとする。いい気分だ。コンビニは徒歩10分もしないところにあるのだけれど、その先に石狩川が見える。
ちょっとだけ足を延ばして写真でも撮りに行くことにする。

大雪山の雪解け水で、川の水は勢いを持っていたが、水量はそう多くもない。
この水が、多くの恵みをもたらすのだろうな~。などとのんきに考えながら橋の中間あたりでふと気がついた。
これは、危険!クマがでてきてもおかしくない地域だ。近くに住む親戚から、目撃情報も聞く。クマが姿を隠すのにもってこいの熊笹も生えている。ひとりでいい気分が、一気に冷めた。
あ~、こんな当たり前のことも忘れるほど私の野性性は衰えているのか。
などと思いながら、ヘッドホンのボリュームを下げ眼鏡をかけ、感覚を研ぎ澄まし、そそくさとコンビニに向かった。目が悪いうえに、骨伝導イヤホンとはいえ音が聞こえないのは自然界では致命的だ。なんとも現代人はのんきなものだと感じた。

人工的なものに囲まれていると、つい忘れてしまう危機感。
それはきっと、安全である証でもある。しかし、自然を必要以上に恐れて要塞を築くのでは自然の豊かさは享受できない。垣根は低く、この野生の感覚を大切に持つのがいいと思った。

たまにはリアルに「怖い」と思う感覚を呼び起こすってのもいい。
自然界への畏怖の念を、持ち続けたい。

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